森のなかへ【ひまむえほん文庫】
こんにちは、ひまむです!
今回ご紹介する絵本は、前回の「すきです ゴリラ」の作者であるアントニー・ブラウンさんを知るきっかけになった一冊。
「森のなかへ」
作、絵・アントニー・ブラウン
訳・灰島かり
評論社
前回にも書いた、アントニー・ブラウンの「細かなあそび」が、これでもかというぐらい詰め込まれています!
まず読み始めてぎょっとするのが、家中のあらゆるところに張られた「パパかえってきて」のポストイット。
帰ってこないパパ。表情の読めないママ。どこか不穏な雰囲気で覆われた物語の始まりに、なにかよくない事を予感させます。
そして「赤ずきんちゃん」のストーリーをなぞるように、細密に描かれたモノクロの森へ男の子と共に引き込まれるまま進むお話。
そんな背景には、おとぎ話や昔話の隠し絵がいたるところにちりばめられていて、ウォーリーやミッケ!的な楽しさもあり、一つの画面を眺めているだけでもいつまでも飽きません。
そして森の中で出会う3組の子どもたち。
この子どもたちは男の子の邪魔をするように話しかけてきますが、男の子は聞く耳を持たずに3回とも乗り切ります。
この「3」という数字、じつは昔話などでもよく使われる数字です。
「3つの願い」「3匹のこぶた」「3年寝太郎」「3匹のやぎのがらがらどん」など……。
白雪姫も、グリム童話では一度目に紐を、二度目に毒の櫛を、そして「3」度目についに毒リンゴで白雪姫を手にかけます。
「おおかみと七匹のこやぎ」では、「3」回にわたるおおかみの襲撃を逃れたたった一匹のこやぎが助かっていましたよね。
こんなふうにおとぎ話や昔話では「3」という数字が非常に頻繁に出てくるのですが、この「森のなかへ」も、きっとそういう古くからのお話への大きなリスペクトを持って描かれた絵本。
なので、おそらく3組の子どもたちも、それに則って登場したのではないかなと思いました。
それだけでなく、この子どもたちはみんな童話の主人公ですね!
と、この絵本へは並々ならぬ想いがあるのでつい語ってしまいましたが、そういうことをごちゃごちゃ考えずに頭をからっぽにして読むのが正しい読み方だと思います!
もー本当に展開が面白い!肩透かしをくらったような、思わず笑ってしまうような。
あんまり言うと面白くなくなっちゃうので、この辺にしておきます!笑
ぜひおうちでゆっくり読んで頂きたいです。
ではまた!
ひまむでした〜。